修復工事が決まった仙台大観音の汚れ具合を望遠レンズで見てみました・2022年12月

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泉区実沢に立つ高さ100mの巨大な観音像「仙台大観音」が1991年の建立以来、初の本格的な修復工事を行うことが河北新報で報道されたので、現在どのような状態なのか見てきました。ぱっと見た感じは白く輝いて綺麗に見えます。


しかし、近くで見てみると至る所に黒い汚れのようなものが見えました。望遠レンズでズームアップして細かいところまで見てみましょう。

まず顔を見てみると、頬のあたりに黒い横線が入っていました。顎などにも雨水が流れたような筋が見えます。頭にかぶっているベールのようなものにも黒い汚れがありますね。


仙台大観音の頭部にはアンテナや避雷針が設置されていますが、頭頂部に扉があって頭の上へ出られるようになっています。河北新報の報道によると、そこからロープを垂らしてロッククライミングのようにロープに吊るされながら作業をするんだそうです。低層のビルの窓拭きなどで見かける方式と似たような感じですが、表面が平らではないので難易度が高くなります。


体から離れている右手にも黒い汚れがありますが、右手まで行くのが大変そうですね。実は数日前に、仙台大観音に何本もロープが下がっていて人がぶら下っているという目撃情報がネットにあがっていました。おそらく修復作業が安全に行えるかどうか確認していたんでしょうね。


右手の袖には大きなヒビのようなものも入っていました。胸の首飾り?も汚れが目立っています。


右手の袖は全体的に茶色くなっていました。


左手も塗装が剥げたような部分がありますね。
本来なら観音像全体に足場を組んで作業をするんですが、そうすると費用が4億円、工期が2年ということで工事を断念した経緯があったそうです。


遠くからは白く綺麗に見えた衣服の裾も亀裂が縦横に入っていました。
今回、工事を行う神奈川県の「クライミング・ワークス」という会社は、ロープにぶら下りながら補修や塗装作業を行う独自の高所作業技術を持っていて、足場を組む必要がなく費用を抑えて工期も短くできるということで工事を依頼したんだそうです。


観音像の前には丸い池がありますが、水が入っていませんでした。水が入っていた部分が錆びついたような色になっていますね。


観音像は巨大な龍に乗っていて、その龍の口が観音像の内部への入り口になっていますが、その龍の横を見てみたら、なんと松の木が生えていました。


アップで見てみました。段差になっている部分に松の種子が飛んできたんでしょうか。折れた枝が落ちてきて根を張ったのかもしれませんね。


観音像の背後も見てみましたが、表の方よりも黒い汚れが目立っていました。
仙台大観音は1991年に建立されて31年が経ちました。今回初めての本格的な修復作業が行われるわけですが、実は2001年に、1度だけ表面の塗装を塗り直したことがありました。当サイトでは塗装作業が終了する直前の様子をたまたま写真撮影していたので、当時の写真を見てみましょう。


2002年4月に撮影した、塗装工事終了前の仙台大観音です。写真左下にオレンジ色のクレーンが見えますね。


ちょうど裾の下の方を塗り直していたようです。


すでに足場がほとんど撤去されていましたが、入り口へ続く階段部分に足場が残っていました。


塗装を塗り直して綺麗になった仙台大観音です。この時から20年が経過して汚れや剝がれ、ヒビなどが目立ってきたので塗装の塗り直しだけじゃなく、破損個所の修復も行う本格的な修復工事が行われることになりました。


ふたたび2022年12月の仙台大観音です。2011年の東日本大震災をはじめとして何回も大きな地震にあった大観音ですが、地震による大きな被害は受けていないということで、20年間の風雨が現在の状態をもたらしたことになります。20年前の写真のような白く輝く綺麗な外観が戻ってくるのは嬉しいことですね。


修復工事は2023年3月に始まり約1年間続くそうです。来年は仙台大観音に作業員の方たちがぶら下る、レアな大観音が見られます。危険な作業なので、なにも事故が起きずに無事に作業が終われますように仙台大観音の御利益に期待したいですね。

※参考リンク

河北新報2022年12月9日付朝刊記事
高さ100メートルの仙台大観音、初の本格修復へ「クライミング工法」で費用工面にめど

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