仙台市が建設を計画している音楽ホールの建設場所として候補地を9ヵ所選び、民間が所有する2ヵ所を除いた7ヵ所の具体的な場所が発表されました。今回はその7ヵ所を実際に巡って現在の状況を見ていきたいと思います。音楽ホールはクラシックや舞台芸術に対応した収容人数2000席規模のホールで建築面積は約9,000~11,000㎡を想定しています。まず最初に見てみるのは地下鉄仙台国際センター駅北側の「せんだい青葉山交流広場」です。
普段は駐車場として利用されていますがイベント開催時には会場としても利用されることがあります。河北新報の報道によると専門部会の主な意見として「仙台国際センターとの連携が期待できるものの、にぎわいのある場所から距離がある」という評価だそうです。国際センターで会合などがある時の駐車場が少なくなるのもデメリットですね。
2ヵ所目は仙台国際センターの南側、川内追廻地区で整備が進められている「青葉山公園」です。元々は仙台城大手門の手前という重要な場所で仙台藩の重鎮、片倉小十郎の屋敷や馬場などがありました。戦後、空襲で焼け出された人や大陸などから引き揚げてきた人たちのための仮設住宅が作られて一般の人たちが住むようになりました。
その後、仮設住宅だったので住民に退去を求める仙台市と立ち退きを拒否する住民との間で長い間争いになっていましたが、現在は住民と和解し転居が進んで更地が広がっています。この場所には歴史や文化、自然を生かした青葉山公園が整備される予定です。ここは「20mの高さ制限があり建築は不向き。史跡、文化資源を生かすべき」という意見が出ました。
3ヵ所目は西公園の「仙台市民プール跡地」です。仲ノ瀬橋の南東側の坂を広瀬川の河畔へと下りていくと市民プールがありましたが、地下鉄東西線のルートになり閉鎖されました。
この場所も「20mの高さ制限があり建築には不向き」とされ「搬出入車両の道路確保に課題がある」と低評価でした。
4ヵ所目は市民プール跡地の東側、西公園の「お花見広場」です。以前は草野球などができるちょっとしたグラウンドでしたが、桜の名所として親しまれてきた西公園の桜が地下鉄工事のため伐採されて減少したので、ここに桜の若木を植えて新たな桜の名所として復活させようとして誕生した広場です。
専門部会でも「花見の場として利用。石碑や記念碑もあり、既存の価値を発展させるべきだ」との意見がでました。今回は7ヵ所の候補地のうち4カ所を見てきましたが、どれも決定打に欠ける場所ばかりで西公園周辺は音楽ホールの建設地としてはイマイチのようですね。次回は残りの3ヵ所を見ていきます。
※参考サイト
河北新報・2019年1月23日付記事「<仙台市音楽ホール>西公園、錦町公園が有力か 候補7ヵ所公表」